FDMY 防災ユースフォーラム


震災関連死 2千人を超える、助かったはずの命(第七回)

投稿者: kurata, カテゴリー: RENSAI✕BOUSAI

加納佑一(東京都社会福祉協議会)

◆震災関連死の対策はいかにあるべきか(その2)
 震災関連死の対策は、前回の通り、要援護者の避難生活環境を整えるために福祉施設等を活用していくことが第一と考えられます。しかし、そのためには、それに付随する様々な対応を事前に考えておく必要があります。

 1つめは福祉施設でのライフラインの確保です。水やガスだけでなく、食事もとろみ食などの用意が必要です。また、薬の必要な方も多くいます。
 次に、施設職員の確保です。日常でさえ、慢性的な人材不足な施設が多い中、災害時には施設職員も被災者となります。こうした中、応援職員の受け入れも含め、すぐに体制を整えることが求められます。
 また、今回の福島のように避難を余儀なくされてしまったときに、要援護者の受け入れをしてくれるネットワークを平時から確保することが重要です。今回の東日本大震災でも、山形と仙台の事前の応援協定により障害者をいち早く受け入れることができたケースがありました。
 4つめに地域住民の要援護者に対する理解と支援です。一般の避難所等で要援護者を見かけたら、簡単な手助けをする、役所や専門機関へのつなぎ役となる、などのサポートがとても助かります。

 一方、自宅の被害を免れ、自宅で生活を続けている方への支援も重要です。避難所ばかりに目が行きがちですが、自宅で生活している要援護者に対しては、日常の福祉サービスが途切れないようにする必要があります。要援護者にとって福祉サービスは命綱なのです。そのため、福祉サービス事業者は、防災対策はもちろん、災害発生時にもサービス提供ができる体制を確保できるような取組みが求められます。
また、被災地の福祉サービス事業者が機能しなくなるような大災害の場合、全国から様々な団体が支援にかけつけますが、その中で大きな課題とされたのが個人情報開示の問題です。多くの市町村の個人情報保護条例に「個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないと認められるとき」の第三者への個人情報の提供を認める例外規定があるにも関わらず、前例がないこともあり、東日本大震災で障害者の全国団体等に個人情報の開示を行ったのは数えるほどもありませんでした(注1)。

 このように、震災関連死の問題は簡単に解決できるものではありません。特に、災害が起きてからの対策はほとんど機能せず、事前の備えのあり方によって震災関連死は大きな影響を受けます。震災から時間が経つにつれ、関心も薄れていきますが、日常の取組みこそが震災関連死を1人でも少なくする正攻法ということを忘れず、取組みを進めていきたいと思います。自戒も込めて。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐

さて、震災関連死の連載、どうでしたでしょうか。個人的には大きな課題だと常日頃感じていたことを、少し、勉強をしながら、まとめさせて頂きました。対策の部分ももっともっと議論が必要だと感じています。震災関連死の専門家ではないので、もし、「本当はこうだよ」など知っていることがあれば教えて頂けると助かります。
また、連載中に幾つか質問が寄せられましたので、この場をかりて回答をしたいと思います。

Q1 東日本大震災における震災関連死の数はまだ増えますか。
A1 はい。増えると考えられます。これから新たに起こる関連死もあるでしょうし、亡くなったのは数ヵ月前でも未申請のために数字にのっていない人もいると考えられます。正直、タイトルをミスったなーと、執筆しながら後悔。途中で変えるか!(笑)なんて思いながら書いてました。

Q2 東日本大震災では、新潟県中越地震の基準をベースに現在震災関連死の認定が行われていると理解してよいでしょうか。
A2 厚労省が新潟県中越地震時の長岡市における災害弔慰金支給審査委員会の設置要綱や関連死認定基準の情報提供をした件ですね(連載第2回)。 実際の委員会に出席したことがないので、分からないというのが本音です。ただし、新潟県中越地震の場合は、震災1か月~2か月後には多くの人が仮設住宅に 入居できたという状況があります。一方で、東日本大震災はニュースでもさんざん取り上げられたように仮設住宅の建設が遅く、多くの人が長く避難所で生活することになりました。よって、長岡基準の「死亡まで6ヶ月以上経過 → 震災関連死でないと推定」というのはあまりにも稚拙ではないかと思います。設置要綱や地震と疾病の因果関係などの点は参考になると思うのですが、上記、死亡までの経過期間の点は参考にならないと個人的には考えています。

注1:JDFによれば、福島県南相馬市と岩手県陸前高田市は障害者手帳の個人情報の開示を行った(内閣府で実施中の災害時要援護者の避難支援に関する検討会(第2回)資料による)。
http://www.bousai.go.jp/3oukyutaisaku/youengosya/h24_kentoukai/2/6_1.pdf


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