FDMY 防災ユースフォーラム


震災関連死 2千人を超える、助かったはずの命(第六回)

投稿者: kurata, カテゴリー: RENSAI✕BOUSAI

加納佑一(東京都社会福祉協議会)

◆震災関連死の対策はいかにあるべきか(その1)
 さて、これまで震災関連死の定義や認定の方法、また、阪神・淡路大震災から東日本大震災までの過去の災害における震災関連死の現状を見てきました。
 隠れた大災害とも言えるこの震災関連死をどのようにしたら防ぐことができるのでしょうか。

●福祉施設等を避難所としてフル活用
 1つめは、福祉施設等を避難所として活用することです。過去の災害からも避難所の過酷な環境が震災関連死のリスクを高めることが分かっています。福祉施設であれば、専門のスタッフもおり、また自家発電を備えているところも少なくないので、一般の避難所と比較すれば暖かい場所に身を置ける可能性が高まるでしょう。
 また、こうした動きの中で、福祉施設等を福祉避難所(注1)として利用する動きが出てきています。福祉避難所は2007年能登半島地震を皮切りに設置が進み、その後、多くの被災地で福祉避難所が設置されています。しかし、被災地域外では、まだまだ認知度が低く、福祉避難所指定のない地域もあり、全国平均は平成23年3月で41.8%にとどまっています(注2)。また、指定をしていても、具体的な役割分担等は行われていないというのが多くの地域の実態と思われます。
 一方、東京都社会福祉協議会が行った調査(注3)によれば、都内福祉施設の約9割が共有スペースの提供を中心に地域住民や要援護者に対して何らかの支援が可能と回答しており、積極的に地域の要援護者への支援を考えているところも多くあります。ここをどうマッチングさせるかが今後の課題と言えます。
 国でも、25年度予算要求として「福祉避難所設置緊急促進事業」(厚労省の社会・援護局)が盛り込まれたところなので、市町村において、こうした事業を積極的に活用していくことが望まれます。

●避難に関する柔軟な判断
 また避難については、前回、福島県において長距離避難がかえって被災要援護者の体調を悪化させている実態を見ましたが、こうした状況を繰り返さないためにも、その時々の状況を十分に踏まえた対応を取ることが必要と思われます。
 東日本大震災では、計画的避難区域(注4)に指定された飯舘村にある特別養護老人ホーム「いいたてホーム」が、移動中に起こる様々なリスクを考慮し、村長が国に要望して「いいたてホームの利用者については、避難しない」という選択を行いました。こうした判断の裏には様々な葛藤があったと思いますが、一律な対応だけでなく、状況を踏まえた判断ができることとが重要だと思われます。

注1:厚生労働省関係の災害時要援護者対策(厚労省hp)
http://www.bousai.go.jp/3oukyutaisaku/youengosya/h20/h20_pdf/mhlw-shiryou.pdf
注2:厚労省 社会・援護局関係主観課長会議資料(24.3.1)(厚労省hp)
http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/03/dl/tp0314-01_01.pdf
注3:「首都圏の災害を想定した福祉施設等の役割と基盤整備のあり方に関するアンケート調査結果」 (東社協hp)
http://www.tcsw.tvac.or.jp/pdf/chousa/20120726summary.pdf
注4:原発事故により、長時間居住することで放射線量の合計が高い水準になる可能性があるため、政府が住民に対して、区域の指定から約1か月間に避難を求めた区域。


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