FDMY 防災ユースフォーラム


震災関連死 2千人を超える、助かったはずの命(第五回)

投稿者: kurata, カテゴリー: RENSAI✕BOUSAI

加納佑一(東京都社会福祉協議会)

●福島では原発事故による長距離避難で震災関連死が増大
東日本大震災における震災関連死の要因を県別に見てみると、大きな違いが見て取れます。その一つが「避難所等への移動中の肉体・精神的疲労」です。この要因による死者は、岩手県・宮城県では21人と、3%程度に過ぎませんが、福島県においては380人、29.5%となっています(表1)。この要因による死者が福島県で突出して多い理由は、原発事故により、自宅や施設にいられなくなってしまった人々が劣悪な環境の中、長距離・長時間の避難を強いられたためです。

私が震災1週間後にお会いした特別養護老人ホームの介護福祉士は涙ながら次のように話してくれました。「寝たきりの高齢者をハイエースに詰めこめるだけ詰め込んで避難した。地獄だった。どうしようもなかった。避難先に着いた時には腕を骨折している人もいた」。
そして、こうした避難は1回で終わりませんでした。避難先が確定しなかったため、避難は何度も何度も繰り返し行われたのです。こうした負担が高齢者や障害者等に重く伸し掛ったのです。

●数は多くないが障害者の避難生活にも大きな課題
また、高齢者の数字が目立つ一方、障害者もまた過酷な避難となりました。2011年6月17日の毎日新聞では「知的障害者相次ぐ急死 避難先で発作など」として障害者の震災関連死について報道しています。なかなか福島県内や近隣県で受け入れてもらえる施設もなく、否応なしに、千葉県の青少年施設(いわゆる○○少年の家や○○青年の家)に避難し、エレベーターも手すりもない中で、10か月にわたる避難生活を送らざるをえなくなった施設もあります。

さて、これまで、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、そして、東日本大震災と過去3つの災害における震災関連死の実態を見てきました。災害により、震災関連死にも様々な特徴があることが分かりました。しかし、一方で、3つの災害に共通していることもありました。それは、全ての人が「震災後の対応のあり方によって命を落としている」ということです。
この対応のあり方について、私たちは深く反省をし、そして、よりよい対応を考えていかなければいけません。前出の報告書においても、今後の対応のあり方について一定のとりまとめをしているところですが、それも踏まえつつ、今後、どのようにしていくべきなのか、次回以降、私が考えていることを紹介していきたいと思います。

表1 原因区分別死者数とし社割合 ※クリックで拡大

注1:東日本大震災における震災関連死に関する報告(復興庁hp)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/240821_higashinihondaishinsainiokerushinsaikanrenshinikansuruhoukoku.pdf


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