FDMY 防災ユースフォーラム


震災関連死 2千人を超える、助かったはずの命(第四回)

投稿者: kurata, カテゴリー: RENSAI✕BOUSAI

加納佑一(東京都社会福祉協議会)

今回は、東日本大震災で発生した震災関連死の現状を見ていきたいと思います。東日本大震災では、以下に見るように非常に多くの震災関連死を発生させてしまいましたが、復興庁にて震災関連死の数を把握し、また、「震災関連死に関する検討会」を立ち上げ、震災関連死の要因や対策等について検討を行っている点は、過去の災害と比べ、一歩前進したと言って良いと思います。

●2300人を超える震災関連死 ― 東日本大震災
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、想定を上回る津波により死者が増大しました。このことは、いまや周知の事実となっています。しかし、その影で着実に増加しているのが震災関連死です。復興庁の最新のデータでは、現在、2302人の方が震災関連死として認定されています(注1)。県別に見ると、多い順に福島県が1121人、宮城県が812人、岩手県が323人…、と約半数が福島県であることが大きな特徴の一つです。また、死者は1都9県で発生しており、広範囲であることも東日本大震災の震災関連死の特筆すべき点と言えます。
なお、2012年11月21日現在の死者・行方不明者数は1万8617人となっていますが(注2)、この数には震災関連死が含まれていませんので、それに震災関連死2302人を含めると、現在、2万919人の方が東日本大震災で亡くなっているということになり、震災関連死の割合は11%となります。

●震災関連死の主な要因は「避難所等での疲労」
震災関連死者の具体的な内訳を見ていきましょう。復興庁が8月21日にまとめた「東日本大震災における震災関連死に関する報告」(注3)では、震災関連死者数の多い市町村と原発事故により避難指示が出された市町村の1263人を対象に震災関連死の原因の調査を行っています。それによると、9割が70歳以上となっており、震災関連死のほとんどが高齢者と言えます。
原因区別では「避難所等における生活の肉体・精神的疲労」が最も多く32.7%となっています(表1)。震災が発生した3月の東北地方は、まだ寒く、避難所で体力が奪われていく高齢者が多くいたことが伺えます。報告書の中には、「濡れた衣服のまま15日まで過ごした」、「寒いため布団の中にいることが多くなった。体も動かなくなり、食事も水分も取らなくなった」などの報告が見られました。
また、避難所の過酷な環境も大きく影響していると考えられます。ある避難所では、以下のような実態も見られました「高齢者を中心に約二百人が過ごす石巻市の避難所は、開放された四か所の部屋に人があふれ、ロビーにいすを並べて寝る人もいた。夜は悲鳴のような寝言があちこちから聞こえた。嘔吐して窒息しそうになったお年寄りを一晩で二人助けた。」(注4)避難所は、体力のない方や体の弱い人たちが何日も過ごせる場所ではなかったのです。

原因区分別死者数と死者割合(※クリックで拡大)

注1:東日本大震災における震災関連死の死者数(11月2日)(復興庁hp)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/20121102_sinsaikanrensi.pdf
注2:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置(警察庁hp)
http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/higaijokyo.pdf
注3:東日本大震災における震災関連死に関する報告(復興庁hp)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/240821_higashinihondaishinsainiokerushinsaikanrenshinikansuruhoukoku.pdf
注4:不眠、もめ事…過酷な避難所(3月29日東京新聞)


この記事に関連しているかも知れない記事:

コメントする

東日本大震災現地報告会(2011年3月27日)

東日本大震災現地報告会を実施いたしました。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の情報を発信しています(随時更新中)

防災啓発活動


「遊んで学ぶ!地震に強い建物」として、耐震啓発活動に関わらせていただいています(管理人倉田のプロジェクト)。

中国・四川大地震報告会


防災ユース、市民防災研究所、防災サークルFREGが共同で行った、若者による四川大地震の報告会レポートです。

防災ユースパンフレット


防災ユースの活動紹介パンフレット、2011年版です。

防災ユース関連本


倉田ほか、防災ユース関係者も記事を書かせていただきました。