FDMY 防災ユースフォーラム


震災関連死 2千人を超える、助かったはずの命(第三回)

投稿者: kurata, カテゴリー: RENSAI✕BOUSAI

加納 佑一(東京都社会福祉協議会)

今回は震災関連死について、阪神・淡路大震災と新潟県中越地震の状況を振り返ってみたいと思います。

●インフルエンザで関連死が増大-阪神・淡路大震災
 阪神・淡路大震災の震災関連死者数は兵庫県内で919人。兵庫県での全死者数が6402人ですので、関連死の割合は、実に14.35%となります(注1)。「想像していた以上に多い」というのが率直な感想ではないでしょうか。

 震災関連死の死亡要因は正式には発表されていませんが、神戸新聞のデータによると肺炎が24%で最も多く、次いで心不全16%、心筋梗塞等10%となっています(注2)。心疾患や心筋梗塞等は精神的ストレスによるものと考えられ、他の災害でも同様に多くなっていますが、肺炎による関連死は阪神・淡路大震災で特徴的に多くなっています。これは、阪神・淡路大震災発生時期とインフルエンザの流行時期が一致したためと考えられます。
 なお、震災関連死は基本的には災害弔慰金の支給に基づいて認定されるため、仮設住宅での孤独死や自殺などの多くは関連死としてカウントされていません。当然、災害弔慰金の申請を行っていない場合も震災関連死には数えられていませんので、集計にあがっていない隠れた震災関連死が多く存在することが考えられます。

●全死者の7割が震災関連死-新潟県中越地震
 2004年新潟県中越地震は、災害関連死の存在をより社会に認識させる結果となりました。全死者数68人のうち、なんと52人が震災関連死と認定されたのです。その割合は、実に76.5%。なぜ、これほどまでに震災関連死が発生してしまったのでしょうか。
 それには、様々な背景があります。1つは、地震の発生時期が晩秋だったことです。新潟の晩秋は極めて寒く、高齢者等の体力を早急に奪っていきました。もう1つは、断続的な余震により、避難が長期化したためです。中越地震は余震の多かった地震として知られていますが、そのために、家が無事でも、すぐに家に戻ることをせず、車中避難が行われていました(農村地域だったので一家に一台は車があったんですね)。こうした背景により、精神的なストレスが増大し、心筋梗塞や脳血管疾患、肺塞栓などで命を落とすことになりました。
 亡くなった方々の83%が高齢者でほとんどが発症から4日目までに亡くなっています。総務省消防庁の「平成 16 年(2004年)新潟県中越地震(確定報)」には、新潟県中越地震で亡くなられた方の状況が短くまとめてあります。以下に例を挙げます(注3)。
・78歳男性が、地震後の疲労等による心不全で死亡
・90歳男性が、地震により強いストレスがかかり、体力が低下し、肺炎及び心不全急性憎悪で死亡
・88歳女性が、地震及び避難により強いストレスがかかり、体力が低下し、肺炎で死亡
など。いかに震災によるストレスが高齢者の心身の状況に大きな影響を与えているかが読み取れます。
 このように、新潟県中越地震では多くの震災関連死を生み出してしまいました。しかし、この教訓が東日本大震災に適切に生かされたかというと、素直に頷きがたいところがあります。次回は、東日本大震災における震災関連死の状況を確認していきたいと思います。

注1:阪神・淡路大震災の死者にかかる調査について(平成17年12月22日記者発表)(兵庫県hp)
http://web.pref.hyogo.jp/pa20/pa20_000000016.html

注2:神戸新聞2004年5月14日
   (県や市としては震災関連死の死因データをとっていない)
注3:「平成 16 年(2004年)新潟県中越地震(確定報)」
http://www.fdma.go.jp/bn/data/010909231403014084.pdf


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