FDMY 防災ユースフォーラム


震災関連死 2千人を超える、助かったはずの命(第二回)

投稿者: kurata, カテゴリー: RENSAI✕BOUSAI

加納 佑一(東京都社会福祉協議会)

●震災関連死の定義
 震災関連死とは、そもそも何でしょうか。実は、国が定義しているものがあります。消防庁によれば、震災関連死は「災害発生後疾病により死亡した者の内、その疾病の発生原因や疾病を著しく悪化させた事について、災害と相当の因果関係があるとして関係市町で災害による死者とした者」とされています(注1)。…長いですね。単純に言えば、震災が原因で体調が悪化したりして亡くなった方ということです。
 震災関連死として認定されると、災害弔慰金の支給対象となるので、遺族にとっては、とても大きな問題です。

●震災関連死の言葉は、阪神・淡路大震災が生み出した
 震災関連死は、阪神・淡路大震災で新しく生まれた言葉とされています。阪神・淡路大震災は冬の発生だったため、寒い避難所の中で、高齢な方や病弱な方が肺炎になるなどしてたくさん亡くなったのです。災害弔慰金の支給等に関する法律では対象を「災害により死亡した者」としているのみで、震災以後、病気の悪化等でなくなる場合は震災による死亡として認められるかどうかが問題となりました。
こうした状況に対応するため、被災各市町村では、専門家(医師や弁護士等)による災害弔慰金給付審査委員会を設置して、震災関連死として認めるかどうかの判断を行いました。これが震災関連死の始まりとされています(注2)。この方式は、東日本大震災でも同じですが、市町村において判断がむつかしい案件等については、県が審査委託を受けて審査を実施しています(図1)。

図1 震災関連死 認定の手続き(流れ)(※クリックで拡大)

●震災関連死には統一的な基準がない
 震災関連死の判断には、統一的な認定基準があるわけではなく、個々の市町村や県の審査委員会によって一つ一つ案件を議論することになります。これは、震災関連死が極めて個別性が高く、統一的な基準で認定することが困難なためです。しかし、そのために、審査に多大な時間がかり、認定までに数ヶ月かかる場合や逆に早急な決定を急ぐあまり、十分な審査ができない状況も見られています(注3)。
 東日本大震災では、被災市町村の事務負担を軽減すべく、厚生労働省が「災害関連死に対する災害弔慰金等の対応(情報提供)」として、新潟県中越地震時の長岡市における災害弔慰金支給審査委員会の設置要綱や関連死認定基準の情報提供を行いました(注4)。

注1:消防庁では震災関連死を「災害発生後疾病により死亡した者のうち、その疾病の発生原因や疾病を著しく悪化させたことについて災害と相当因果関係があるとして関係市町で災害による死者とした者」として集計している(平成9年12月24日消防庁発表)。
注2:阪神・淡路大震災教訓情報資料集「第3期・本格的復旧・復興始動期(地震発生後4週間~6ヵ月)」
注3:現在、被災地では審査件数の増加により、十分な時間をかけて認定を行うことが困難な状況となっています。岩手日報(2012年10月7日)では、岩手県弁護士会が「委員の弁護士が慎重な審査を求めても、審査案件が多すぎるため結局多数決で事務局案の追認となることがある」と記しており、震災関連死の認定手続きに課題が見られている。
注4:災害関連死に対する災害弔慰金等の対応(情報提供)(厚労省hp)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001b0qj-img/2r9852000001baag.pdf


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